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元医療事務が語る!入院が決まったときに知っておきたい知識:差額ベッドについて

 

人生100年時代といわれています。
一生健康で、一生事故に遭わないという保証はありません。


今回ははじめて入院する方に、

私が“知っていてほしい知識”のひとつ

『差額ベッド代』について

わかりやすく簡単に説明していこうと思います。

 

私の自己紹介

元医療事務。(現在退職済み)

医療事務として私立大病院に派遣され、

業務委託というかたちで3年半入院に関する業務を担当する部署におりました。

主に、入院が決まった患者さんに対して

入院のお部屋希望を伺う業務をしておりました。 

 

 

 

 

 

差額ベッド代とは

 

正式には特別療養環境室と言って、
入院する患者さんにとって療養がしやすい快適な環境になるよう努められた病床のことです。

 

上記の説明を見ると個室が思い浮かぶかもしれませんが
4人から2人部屋も特別療養環境室に該当します。

 

具体的な特別療養環境室(差額ベッド室)の条件は以下になります

 

1.病室の病床数は4床以下


2.病室の面積はひとりあたり6.4平方メートル以上


3.病床のプライバシーを確保するための設備があること


4.特別な療養環境として適切な設備を有すこと

  

以上です。

 

一定のレベルよりも快適に入院生活を送りたいようでしたら、差額ベッドを選ぶのも良いかもしれません。

 

「自分のいびきがうるさいから」

「他人の物音が気になってしまうから」という方は個室を選んだり、

隣のベッドとの間にパーテーションが設けられているお部屋をよく選択されていました。

 

また大病院には一部にVIP病棟というのも用意されています。(全室個室)

そういった病棟の室料は1日につき5、6万円〜などかなり高額ですが

コンシェルジュが病棟についていたり、アメニティに有名ブランドを起用したりと

ホテルのような待遇を受けられる部屋も存在します。

 

 

 

差額ベッドの注意点!!

 

 

差額ベッド代は健康保険の対象外となります。

つまり自費です。

入院の医療費と差額ベッド代は別々でかかってきます。

 

生活保護受給者は国から医療費扶助を受けて医療費は無料となっていますが

例によって自費扱いとなるので、差額ベッド代は自らの負担となります。

※病院によっては生活保護受給者だと差額ベッドを希望できないところもあります。

 

差額ベッド代の計算方法ですが、ホテルのように1泊2日で◯◯円ではなく、

1日につき◯◯円という計算になります。


例えば、差額ベッド代5,000円の部屋に1泊2日で入院したとすると…

 

入院した日(5,000円)+退院した日(5,000円)=部屋代は10,000円

 

以上のように退院する日も含めて差額ベッド代は発生するので注意しましょう。

 

 

また予期せぬ入院の延長についても念のため考慮しておいたほうがいいでしょう。

1週間だと思っていた入院が、1ヶ月に伸びて差額ベッド代が大変なことに…。

ということもあるかもしれません。

 

さらに常時ベッドがいっぱいの病院だと、途中からベッド代の安い部屋や

後述する無差額のベッドに移ることが難しい場合もあります。

 

以上の理由から差額ベッド代は多めに見積もっておいたほうが良いでしょう。

 

差額ベッド代は病院によってかなり価格に違いがあります。

差額ベッドを選択する場合は金額に見合った部屋かよく考えて決められることをおすすめします。

ちなみに私が勤務していた病院は一番安い4人部屋でも1日8000円代でした。

 

差額ベッド代がかからない【大部屋】について

 

 

「入院の治療費だけでも大変なのに、部屋代のかかる部屋などとても無理!」という方、安心してください。

 

お部屋代のかからないベッドも病院には必ず用意されています。

一般的に差額ベッド代がかからない部屋は、大部屋と呼ばれています。

 

大部屋は、4床以上のベッドが用意されたいたって普通の部屋です。

 

大部屋のベッド数(何人部屋か)は病院によって違います。

心配なら病院側に確認するといいでしょう。

また大部屋と言っても、重症患者でない限り男女が同じ部屋になることは

基本的にはないので安心してください。 

 

「入院費用をなるべく抑えたい」方や

「1人では寂しいのでにぎやかなほうがいい」という方は

大部屋を選択されていました。

 

次に差額ベッドを希望する患者や希望しない患者ともに、

私が受けたよくある質問について述べていきます。



必ず希望する部屋に入れるのか?

 

「必ず個室に入りたい!」

「金銭面の不安で必ず大部屋に入りたい!」

というように思う方もいらっしゃるかと思います。


残念ながら、結論から言うと「必ず」というのは難しいです。

 

部屋の希望は出せるが、部屋の予約はできないと、捉えたほうが良いです。

 

入院中の患者の病状によっては

治療上予定していた退院日をオーバーしてしまったり、緊急の入院が入ってしまったりと

ベッドの状況が日々変わっていってしまうのが理由です。

 

なので病院側は、上記の理由で病室の調整が難しくなったときのために入院前の入院申込み時に

患者が希望する部屋以外に第2希望として他の部屋も希望していただけるかを確認することがあります。

 
ここで重要なのは、『差額ベッド代を拒否できるか?』です。

 

差額ベッド代の拒否はできる?

 

「入院日までに希望の大部屋が空かなかったとき、差額のかかる部屋に入ることは可能ですか?」
と、入院前に不安になるような質問を病院からされることがあります。

 

「差額ベッド代は払いたくないけど、断ったら病院との関係が悪化してしまうかも…」

と不安になってしまう方もいらっしゃるかと思いますが、

 

差額ベッド代の拒否は絶対に可能です。

 

拒否できる根拠は、厚生労働省からの通知に差額ベッド代を患者側に請求してはいけないケースとして示されているからです。

 

差額ベッド代を患者に請求できないケースは以下です。

 

1.差額ベッド代についての同意書にサインをしていない


2.治療上必要と判断されて差額ベッドに入室した場合


3.病院都合(ベッドの空きがないなど)で患者の希望ではない差額ベッドに入室した場合

 

以上になります。

 

 

ここまでを踏まえて、入院前の上手な差額ベッド代拒否のやり方を紹介します。
 

元医療事務直伝!上手な差額ベッドの断り方

 

入院前に部屋代についてあまりにもしつこく差額ベッド代の相談を受けた際は

以下のように病院側に伝えてください。

 

「無料の部屋が空かない場合、空いている他の部屋に入ること自体は可能だがその部屋の室料は払えません。厚生労働省から希望していない部屋代は支払わなくていいと聞いています。」

 

これでOKです。

病院側は差額ベッド代について相談できなくなるはずです。

 
差額ベッドを断るときに第一に重要なのは
ハッキリと強く差額ベッドは希望しない意思を伝えること。

中途半端な態度だと病院側に「部屋代について相談の余地がありそうな人」だと思われかねません。

それでもしつこく「差額ベッドも希望に含めてほしい」という要求がある場合は

先程ご説明した厚生労働省の通知について知っているということを病院側に伝えましょう。

 また、絶対に差額ベッド代に関する同意書にサインをしないでください。

 

入院時に差額ベッド代を了承する同意書を提出してしまうと

原則、ベッド代の支払い義務が生じます。ご注意ください。

 

ただ、病院側も患者の希望する病床を本当に用意できないこともあります。

病院側と良い関係を築くためにも、患者側も譲歩できるところは譲歩する姿勢も大切かと思います。

 

たとえば、緊急を要す入院でない場合は入院日までに部屋が空かない場合は

「希望の部屋が空くまで待つ」と伝えるのもいいかもしれません。

 

おわりに

 

今回差額ベッド代についてご説明いたしました。

入院に縁のない人にとって『差額ベッド代』は聞いたことのない言葉だったかもしれません。

知らないままでいるよりは、いざというときに役立つ知識かと思います。

 

病院のベッド事情は、入院までの不安な期間をさらに不安にさせる要素でもあるかと思います。

少しでも、急な入院が決まったときの不安を解消するために役立てていただければ幸いです。

 

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